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特例有限会社とは

2006年5月1日の会社法施行により、『有限会社』が廃止になりました。その日から新たに有限会社を作る事は出来なくなりました。そしてそれまであった『有限会社』は全て株式会社として取り扱われる事になりました。

しかし、昨日まで有限会社だった会社が今日からいきなり株式会社に変わってしまうと社会や会社内が混乱してしまうので、整備法という法律でいきなり通常の株式会社にするのではなく、有限会社の性質を少し残した株式会社にする事になりました。

株式会社とみなされるけど、通常の株式会社ではないという点がポイントでもあり、分かりにくい点でもあります。特例有限会に移行するためには、原則的に何の手続きも必要ありません。 また何年以内に株式会社(通常の)に商号変更(解散と設立)の登記をしなければいけないという規制はありませんので、株式会社に変えたい場合以外は、特別な手続きは必要ありません。

それでは、通常の株式会社と違い、有限会社の性質を残してある点について見てみましょう。

 

  1. 通常の株式会社への移行手続をするまでは、商号の中に「株式会社」という文字を含めてはならず、代わりに「有限会社」という文字を含めることが義務付けられている
  2. 取締役会・監査役会・会計監査人・会計参与・委員会および執行役が法定機関として認められていない(整備法17条)。その結果として、例えば法律上「取締役会設置会社」であることが要求されている業種の会社(銀行や証券会社など)の事業を営んではならない。
  3. 株主総会の特別決議要件が通常の株式会社よりも厳格となっている。企業再編の手段として、株式交換や株式移転の方法を用いることができない。
  4. 特別清算手続が適用されない。

特例有限会社のままでいるメリット

  1. 取締役の任期制限(通常の株式会社は最大でも10年)がないので、長期的な経営が出来る。そのため役員変更登記の必要もないので、登記申請時の登録免許税や専門家に支払う手数料が節約できます。
  2. 12年以上、特例有限会社に関する変更の登記がなくても、休眠会社として解散したものとみなされない。( 通常の株式会社は、最後に登記した日から、12年間何も登記しないと解散したものとみなされます。)
  3. 今までの商号がそのまま使えるので、商号変更登記の必要がない。
  4. 決算公告義務がない
    ( 通常の株式会社は原則として決算公告が義務付けられている。)
  5. 会計監査の義務がない。
    (通常の株式会社の大会社においては会計監査が義務付けられる。)
  6. 監査役を設置しても業務監査は行われず、会計監査のみとなり、会社規模を問わずコンプライアンス体制構築義務は免除。
  7. 会社法施行から時間がたてば、歴史ある会社だと見なされやすい。昨日今日できた会社ではないことが商号だけから読み取れるので、自然と信用がつく。

特例有限会社でいるデメリット

会社規模の大小にかかわらず、会社の実情に合わせた柔軟な機関の設計はできない(取締役会・監査役会・会計監査人・委員会・会計参与は設置できない)。株式の譲渡制限を解除する「公開会社」となることは許されない。 特例有限会社同士、または特例有限会社を存続会社および事業承継会社とする吸収合併および吸収分割ができない。特例有限会社のままでは株式交換や株式移転もできない。