30条において、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額は、会社法第27条第4号により定款の絶対的記載事項とされています。
また、資本金の額を定款に記載することで、登記申請時に資本金の額の決定書を別途作成する必要がなくなります。
31条では、最初の事業年度を定めることができます。これは会社法第296条第1項に基づく任意的記載事項です。
32条では、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役、設立時会計監査人の選任方法について定めることができます。発起設立の場合、定款に記載がないときは、発起人の議決権の過半数による決定とされます(会社法第38条、第40条第1項)。募集設立の場合は、創立総会の決議によって選任されます(会社法第88条)。(会社法38条・40条1項)募集設立の場合には、創立総会の決議によって定める事項になります。(会社法88条)
33条では、会社設立に際して出資を行う発起人に関する情報を明記したものです。会社法第27条第5号により、発起人の氏名・住所・引き受ける株式数・払込金額は定款の絶対的記載事項とされており、定款に必ず記載しなければなりません。本条では、発起人「ひとでき太郎」が500株を引き受け、総額500万円を払い込む旨が記載されています。
<設立時代表取締役の選定について>
■ 取締役会設置会社の場合
設立時取締役の過半数による選定が原則です。以下の方法も可能とされています。
(1)定款に氏名を記載する方法
(2)定款に発起人の互選による旨を定め、発起人が互選する方法
(3)定款に設立時取締役の互選による旨を定め、設立時取締役が互選する方法
(4)募集設立の場合、創立総会の決議による方法
実務上は、設立時取締役全員の同意により選任する方法が一般的です。
■ 取締役会を設置しない会社の場合
会社法に明文の定めはありませんが、設立時の職務執行者の決定は、発起人の過半数で行うと解釈されています。次の方法も許容されます。
(1)発起人の互選による方法
(2)定款に氏名を記載する方法
(3)定款に発起人の互選による旨を定める方法
(4)定款に設立時取締役の互選による旨を定める方法
(5)募集設立の場合、創立総会の決議による方法
実務上は、定款に氏名を直接記載する方法が広く用いられています。