新会社法における株券とは

新会社法における株券とは

2006年に施行された新会社法により、株券の扱いに大きな変更が加えられました。
従来の商法では「株券は原則発行、例外的に不発行(定款での定め)」とされていましたが、新会社法ではこの考え方が逆転し、「株券は原則として発行しない」こととされました。

なぜ「株券不発行」が原則になったのか?
この法改正には、以下のような背景があります。
  1. 中小企業では実務上、株券を発行していないケースが大多数だったこと
  2. 株券の印刷・管理にかかるコストや事務負担が大きい
  3. 紛失・盗難などのリスクがある
  4. 上場会社においては「株券電子化(振替制度)」により株券そのものが廃止されたため(株式等決済合理化法による)
これらを踏まえ、会社法では「株券不発行」を原則とし、定款で明示的に定めた場合のみ株券発行が認められる形に改められました
株券を発行する場合の取り扱い
株券発行会社とは、「株券を発行する旨を定款で定めている株式会社」のことを指します。
この場合、原則として株式を発行した日以後、遅滞なく株券を交付しなければなりません。
ただし、非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合には、株主からの請求があったときにのみ株券を発行することができます。
これは非公開会社では株式が流通しにくく、株券の実用性が低いためです。
株券の法定記載事項(4つ)
株券を発行する際には、以下の事項を記載することが法律上義務付けられています(会社法第215条)。
  • 株券発行会社の商号
  • 当該株券に係る株式の数
  • 譲渡制限がある場合はその旨
  • 種類株式を発行している場合、その種類および内容
※旧商法では「株主の氏名」も記載義務がありましたが、新会社法では削除されています。
また、株券には会社の代表取締役による署名または記名押印が必要です。
株主の「株券所持拒否制度」
株券発行会社においても、株主は会社に対して「株券を交付してほしくない」と申し出ることができます。
これは、紛失・盗難などのリスクを回避したい株主の意思を尊重する制度です。
まとめ
新会社法では、株券の不発行が標準とされており、特に中小企業や非公開会社では、株券を発行せずに株主管理を行うのが一般的です。
定款に株券発行の記載がない限り、会社には発行義務がなく、事務コストや紛失リスクも回避できます。
制度上、株券を発行する際には厳格なルールが定められているため、定款の記載と実務運用を丁寧に確認することが重要です。
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