会社設立後の税務について消費税編をお届けいたします。


消費税の税率と簡易課税制度

消費税の納付税額とは一体どのように計算すればよいのでしょうか?
通常は (課税売上高)×4%-(課税仕入高)×4%  このように計算しますが、その他に
簡易課税制度の適用を受けると、また別の計算方法になります。
その場合は課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5千万円(注)以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出していることが条件になります。

 

簡易課税制度とは、事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額を計算するものです。
つまり、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

みなし仕入率
第一種事業(卸売業)    90%
第二種事業(小売業)    80%
第三種事業(製造業等)     70%
第四種事業(その他の事業)  60%
第五種事業(サービス業等)   50%


最初に挙げた消費税の税額計算はなかなか計算しにくく、面倒なものですが、上記の簡易課税制度の計算方法ですと、とても簡単(簡易)です。
 第1種事業から第5種事業までのうち一種類の事業だけを営む事業者の場合
以上となりますが、
それぞれの事業の複数の組み合わせの場合は、計算方法が異なりますので、税務署にお問合せした方がよいでしょう。

単に商品やサービスの提供の過程において、生じた消費税ですが、税務的にはさまざまな節税方式や計算方法があります。
ご自分の設立する会社の事業にもよりますが、消費税の税務、特に消費税に関しては金額が大きいので、慎重に取り組む必要がありそうです。

日時:2008年11月25日 22:11
■消費税の税率と簡易課税制度

消費税の節税(4)免税事業者とは?

消費税の節税に関しては、会社設立後の届出の選択により方法が異なります。
ひとつは、設立時の資本金を1000万円未満にして、「消費税免税事業者」とするか?
資本金の額に拘わらず、「消費税課税事業者」を選択するという方法があります。

消費税の免税業者については、前回でもお伝えしました。
では、「課税事業者」というのはどういったことなのでしょうか?
その最大のメリットとしては、還付を受けられるということです。
何が還付されるかというと、受け取った消費税より支払った消費税が多い場合に戻される差額です。

 

一般の給与所得者の方でも年末調整や医療費控除で源泉所得税が戻ってくることはご存知だと思いますが、消費税の還付もそれに似たものです。
ですから、節税というより、当然受けられる還付ですが、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者を選択した場合に限られますので要注意です。

この場合は新設時に資本金1000万円以上であれば自動的に事業年度として1年目から課税業者となります。
また、課税売上が1000万円以下の事業者でもこの「消費税課税事業者選択届出書」を提出すると、課税事業者となります。しかし、一旦この届出をすると2年間は課税業者が継続されますので、ご注意が必要です。

課税事業者と免税事業者のどちらを選ぶかの見極めには充分考慮が必要です。
前回の「消費税の節税(3)免税期間について」に3つのケースを挙げましたので、ご参考にしてください。

消費税は法人が納める税金の中でも、ひときわ金額の大きくなるものです。
消費税を納める為に金融機関から融資を受ける会社もあるほどです。
しかし、必ず納める税金ですので、自己判断に迷うことがありましたらやはり専門家にご相談するのが良いでしょう。


当サイトでは、無料で専門家のアドバイスを受けられますので、お気軽にご相談下さい。

日時:2008年11月22日 22:14
■消費税の節税(4)免税事業者とは?

消費税の節税(3)免税期間について

消費税の免税関しては、新設の会社の売上高がどのくらい見込めるか?を慎重に判断することが大切です。
事業年度開始の日の資本の金額が1,000万円未満であれば、会社設立後の届出で免税事業者になれます。person_0253.gif

確かに、免税事業者になれば最低2期分は納税義務が生じないので、消費税が節約できると考えるのも無理はありません。
しかし、免税期間と事業年度、売上高による「免税事業者か?課税事業者か?」の選択によって、消費税の納税に少なからず影響が出ます。

 

それでは、どんな事を念頭に考えたらよいのでしょうか?

ケース1 設立当初第1期の売り上げがあまり見込めない
 
個人事業から法人成りをした方はだいたいの売り上げが見込めると思いますが、会社設立を機に事業自体が始めてという方は、やはり資本金を1000万円未満にし、事業年度
も長く設定すると良いでしょう。
消費税の免税期間が、最大でも2年間設けることが出来ます。
また、1期を長く設定することで、消費税も免除になるほか、決算時に売り上げも多く計上出来て、金融機関の融資や決算広告の際に有利になります。


ケース2 設立当初から売り上げが見込め、なおかつ新設のための設備投資などで支出が多い
 
資本金の額が1000万円以下でも「課税業者」の選択が出来ます。
消費税は、おおむね、預かった消費税から支払った消費税をひいた額なので支払った額が大きい場合には消費税は還付されます。


ケース3 事業年度の設定と売上高の関係
 
消費税は、法人の場合2期前の消費税のかかる売上高が1千万円を超えている場合に納税義務が生じるので、新設法人は設立3期まで2期前がないため、設立1期と2期は自動的に消費税が免税になります。
しかし、売り上げが充分見込める事業者であれば、あえて第1期の期間を短くして当該の期の売上高を低くするということもできます。
その際、会計士や税理士に支払う決算費用が、設立後すぐに発生するため、全体的にみてどうなのか?といった判断が必要です。


以上のように、会社設立後の売上高の見込みや、事業年度の定め方で、節税の方法も変わります。
詳しくは会計士や税理士さんにご相談した方が良いですが、このサイトでも無料で専門家に相談でいますので
よろしくお願いいたします。

日時:2008年11月21日 22:08
■消費税の節税(3)免税期間について

消費税の節税(2)個人事業から法人

m04.jpg消費税は流通過程に於いて一旦お客様やお取引先からお預かりしているものですので本来なら負担は当然ともいうべきものですが、1年間の累積を納めるというのはなかなか大変な事です。m05.jpg

消費税対策のために会社設立しようという方は多いのですが、その節税とは具体的にどういったことなのでしょうか


個人事業主の消費税は課税売り上げ高が1000万円を超える場合は一律に支払義務が生じますが、個人事業を2年営み、3年目に法人にした場合はかなりの節税が可能です。?m16.jpg
仕組みとしては、個人事業の基準期間をうまく利用するということです。


 

基準期間というのは、課税事業者かどうか判断している事業年度の、2事業年度前を指します。つまり、平成20年1月からはじまる事業年度の基準期間は、平成18年1月からはじまる事業年度となります。
よって、この基準期間の間は消費税の納付義務はなく、3事業年度平成21年1月から条件に見合った法人を設立することでさらに2事業年度の納税免除が受けられます。

その際の「課税売上高」とは、消費税の課税対象となる売上高をいいますが、多くの売上が消費税課税になります。

次に法人にする際の事をご説明いたします。
会社設立当初2事業年度は消費税の納税義務はありません。すなわち最初の2年間はどんなに売り上げても消費税を納める必要がないのですが、この恩恵を受けるには、資本金が1,000万円未満の会社にしなければなりません。

上記の事をまとめると、個人事業の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えていたら、消費税の納税義務が発生します。そこで消費税の納税義務が発生する前に、資本金1,000万円未満の会社を設立します。個人事業は法人成り(廃業)するため消費税の納税義務はなくなります。また、新たに設立する会社も設立当初2事業年度は消費税の納税義務はありません。すると法人成りすることによって、最初の2事業年度は消費税を納めなくて済みます。

注意すべき点としては、個人事業の事業年度とは毎年1月から12月までということ、一方、法人の場合はおのおのが会社設立時に最初の事業年度を定めるので、個人事業から
法人へのスムーズな移行は12月中に準備し設立日を1月5日に出来るようにするのが
ベストだと思います。
但し、以上の事はあくまでも「消費税」にポイントを絞った節税対策の一例にすぎません。事業の業種や、税務・会計状況により状況は変わりますので、慎重にお考え下さい。
また、新しく法人にした場合の事業年度の定めについても、消費税にとらわれず、さまざまな観点からご検討下さい。

日時:2008年11月20日 22:06
■消費税の節税(2)個人事業から法人

消費税の節税(1)消費税とは?

確定申告の時期がせまってくると、個人事業から法人成りへの税金のご相談が多くなってきます。
中でも「消費税」のことについては、法人になった場合のメリットが大変大きいので、そのメリットをお伝えしたいと思います。

まず消費税とはそもそも何かを再確認しましょう。
消費税とは、商品やサービスの購入者である消費者が負担し、それらの提供を行った事業者が納税する間接税(税金を負担する人と、税金を納める人がちがうという仕組みの税金)です。売上により受け取った消費税額から仕入等により支払った消費税額を控除して事業者の納付税額を算出します。これは、商品やサービスの流通過程においての税の累積を排除するためです。

 

なお、国内の取引かかる国税としての消費税率は4%ですが地方消費税として1%の課税があります。合わせて5%の申告・納税は消費税とあわせて国(税務署)に対して行います。

上記の消費税ですが、個人事業主も法人も売り上げから算出されるしくみの税金なので、かなりその税額も大きなものになってしまいます。
しかし、消費税には、節税できるポイントがありますので、個人事業から会社設立する際のタイミングや会社を設立する際の注意点を確認することが必要です。

本日より
1)個人事業から法人になる場合の節税ポイント
2)免税期間について
3)課税事業者とは?
を連載いたしますので、よろしくお願いいたします。

日時:2008年11月17日 15:57
■消費税の節税(1)消費税とは?