設立時の注意点-目的


目的について

<記載例>

(目的)

第○条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

1.介護保険法に基づく指定居宅介護支援事業
2.介護保険法に基づく次の居宅サービス事業
 (1)訪問介護
 (2)訪問入浴介護
 (3)訪問看護
 (4)通所介護
 (5)短期入所生活介護
 (6)福祉用具貸与
 (7)特定福祉用具販売
3.介護保険法に基づく次の介護予防サービス事業
 (1)介護予防訪問介護
 (2)介護予防訪問入浴介護
 (3)介護予防訪問看護
 (4)介護予防通所介護
 (5)介護予防短期入所生活介護
 (6)介護予防福祉用具貸与
 (7)特定介護予防福祉用具販売
4.介護保険法に基づく次の地域密着型サービス事業
 (1)夜間対応型訪問介護
 (2)認知症対応型通所介護
 (3)小規模多機能型居宅介護
 (4)認知症対応型共同生活介護
5.介護保険法に基づく次の地域密着型介護予防サービス事業
 (1)介護予防認知症対応型通所介護
 (2)介護予防小規模多機能型居宅介護
 (3)介護予防認知症対応型共同生活介護
6.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業
7.介護用品及び介護機器の販売及びレンタル
8.在宅者向けの給食サービス業
9.一般乗用旅客自動車運送事業及び特定旅客自動車運送事業
10.保育所の経営
11.料理、買物、そうじ、洗濯等の家事一般代行及び請負
12.介護要員の養成・指導及び紹介
13.ヘルパー養成学校の運営
14.不動産の賃貸・管理・運営・売買・仲介及びコンサルティング業
15.損害保険代理店業
16.上記各号に附帯する一切の業務

 

具体性

 会社の目的をどのくらい具体的に定めるかは、会社を設立する方が判断すべきことで、登記官による審査の対象とはならないとされています。(平成18年3月31日付け法務省民商第782号法務局長・地方法務局長あて法務省民事局長通達)

明確性

 会社の目的の明確性は、目的の具体性と同義で用いられる場合もありますが、「語句の意義が明瞭であり一般人において理解可能なこと」という意味で、新会社法施行後も必要な要件となっております。

 目的の記載中に特殊な専門用語・業界用語・外来語、新しい業種を示す語句等が使用されるときは広辞苑・イミダス・現代用語の基礎知識等に当該語句の説明がされているかどうかが判断の材料として用いられます。

 以前はOA機器の販売やIT・WEBなどのローマ字はダメとされておりましたが、現在は社会的に認知されているものは目的の登記に用いても差し支えないということになっております。(一部の法務局ではダメな場合もあります。)

適法性

 強行法規または公序良俗に反する事業を目的とすることはできない(民法90条

 適法性に関しては、許認可が先か、目的が先かで問題となるケースがあります。

  1. 営業開始につき行政庁の許認可が必要な場合、その許可を受ける前にその事業を行う会社の目的にあげることの可否について。
  2. 資格者(弁護士・弁理士・司法書士・行政書士)の行うべき事業を会社の目的に挙げることの可否について。
  3. その他強行法規違反となるか否かが疑わしい場合
  4. 法律の施行前に、法律で規定される事業を会社の目的に挙げることの可否について。

営利性

 株式会社は、その会社の株主に利益配当請求権又は残余財産分配請求権がみとめられており、対外的事業活動を通じて上げた利益を構成員に分配するものであるため、利益を全く取得する可能性のない事業は会社の目的とすることはできません。

 ただし、利益を得る可能性があれば、公益性の認められる事業であっても、法律で禁止されていない限り会社の目的とすることができます。